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2007年 10月 02日
旅の回想録、カリフォルニア紀行(2007年夏)続きです。
JMTの延べ日数をタイトルに入れていましたが、数字ばかりになってしまうので止めました。ちなみにJMT通算6日目です。 -- 2007年7月26日(Gladys Lake / Ansel Adams Wilderness, CA) 貪るようにに眠り、いい加減起きなければとテント入り口のジッパーを開けると、もの凄い眺めが広がっていた。雄大なマウントバーナー、紺碧の水をたたえたサウザンドアイランドレイク、本当に千あるのではないかと思う程たくさんの小島が浮かんでいる光景が視界に飛び込んでくるのだ。狭い平坦地であったが、眺めは最高のポイントにテントを張ってしまったようだった。実は夜明け頃に何度か目を覚ましていて、「今、外に出れば凄い朝焼けが見られる」とわかっていたものの、どうしても起き上がるだけの気力も体力も湧いて来なかった。それほどに疲れていたのだ。そういう訳で、もっと凄い写真が撮れた筈なのだが、そんなことを言っても正に「後の祭り」なのである。 荷物をまとめているうちに、すぐ横のトレイルを次々にハイカーたちが通り過ぎて行く。レンジャーが来て「トレイルのこんな近くにキャンプしてはいけない」と怒られるのではと思い、急いで片付けた。 10時近くに湖畔に到着。水が少なくなっていたので、ウォーターフィルターを使ってみた。湖の水は澄んできれいなのだが、魚もいるようだし、氷河のある山は対岸のはるか彼方なので、そのまま飲むには少し気が引ける。ポンプ式のフィルターは、思ったよりも汲み上げが楽だった。確実に濾過されるものを選んだ筈なので、信用して飲んでみる。「本当に大丈夫なのかな」という思いはあったかが、それまでに汲んであった水が無くなると、それしか飲むものが無いので次第に慣れてしまったけれど。 美しい湖畔には、ハイカーや釣り人が次々に訪れる。ここには歩いてくる以外の方法は無いので(馬に乗ってくるという手段もあるが)、皆ここの風景を感慨深気に眺めているようだった。ここではJMT全行程を歩き通すという何人かのハイカーにも会えた。ヨセミテからのサウスバウンド(南行き)、マウントホイットニーからのノースバウンド(北行き)の旅人たちが山上の美しい湖の前で一言二言挨拶し、またそれぞれに長い道のりを行くというのは、本人たちであればもっと感動的な一瞬なのだろう。JMT全行程の人たちは、40〜50歳代くらいの単独行の人たちが多く、それぞれに長旅で疲れているような感じもあったが、ここまで歩き通してきた充実感や感じさせてくれた。何人かのハイカーと話したりしていると、ジョシアとモニカが追いついてきて「オハヨウゴザイマス!」と声をかけくれた。どうやら彼らは、昨夜アイランドパスでキャンプしていたらしい。JMTではハイカーたちに仲間意識が何となくあらわれるのも魅力のひとつだ。 湖畔でのんびりしているわけもいかないので、僕も先を急ぐことにする。と言ってもジョシア・モニカやサウスバンドの他のハイカーたちには、あっと言う間に置いて行かれてしまったが。 このあたりは湖の多いところで、サウザンアイランドレイクから峠を越える(そこにもルビーレイクという美しい湖があった)と、サウザンアイランドレイクそっくりの湖、ガーネットレイクが現れる。大きさやかたちだけでなく、散々の小島が浮かんでいるのもうり二つなのだった。 風景は素晴らしいのだが、今日もペースが上がらず、今日中に辿り着きたい場所までは遥かに遠く、少し焦る。(だからと言ってスピードが速くなる訳でもない。)ガーネットレイクを過ぎると再び上り。今日はアップダウンの連続なのだ。 峠を越えると岩の性質が変わる。今までは白く輝く花崗岩帯で、適度に風化していて岩場でも割と歩きやすかったが、ここからは急に固い粘盤岩(?)のような岩が剥き出しになるようになった。それらが鋭角に砕けた石が敷き詰められたようなトレイルで、とにかく歩き辛かった。そんな道を一人辿りながら、地図を見る余裕もなく、“ハードロック峠”と命名することにしたのだった。(←全く役に立たない旅行記です...) ハードロック峠を越え下っていくと、再び森の中に入っていく。下りは思った以上に深いものだった。途中ノースバウンドのハイカーたちと擦れ違うが、彼らは大きな上りに相当に苦しんでいるようだった。「湖まであとどれくらいだ?」と訊かれると、思わず正直に「あと2〜3時間かかると思う」と答えてしまうと、彼らはがっかりするのだが、「でも湖は本当に美しかったですよ」と付け加えると少しは嬉しそうにしてくれた。 下りを終えると、再び水音が谷間に響きはじめる。沢沿いの涼しいトレイルをいくと、シャドウレイクに到着した。このあたりから竿を担いだフィッシングのグループと多く擦れ違うようになった。家族連れも多いようで、子供達はぎこちないフォームでフライを流れに投げ込んでいた。 シャドウレイクからは再び上り。荷物の重さだけでなく連日の疲れも出てきて、本当に辛い部分だった。延々と急斜面のスイッチバックを繰り返しながら、とにかく坦々と上っていく。太陽は湖の対岸の山の稜線にどんどん近づき、「目的地まで辿り着けるのだろうか...」と不安になっていった。 日没の頃、ロザリーレイクに到着。静かな森の中にあり、キャンプできそうな場所はいくつかあるが、蚊が多そうなので、まだ残照のあるうちにもう少し進むことにする。地図を見ると、あと少しの上りでこの上の湖・グラディーズレイクに着けそうだ。途中森の中の空き地のようなところでテントを張り寛いでいるカップルが見えたが、ジョシアとモニカなのだろうか? トレイルを上りきると、岩地のある草原に出た。水場となるグラディーズレイクも直ぐそこという立地で、迷う事なく荷物を下ろした。時計を見ると20時少し前で「昨日よりは遅くならなかった」と安堵した。 キャンプ適地ではあったが、宿営しているのは僕だけだった。タフなJMTのハイカーたちはもっと先まで行けてしまっているか、あまり無理をしないで手前のシャドウレイクやロザリオレイクのあたりでゆっくりしているのだろう。急いでテントを張り、水を汲みにグラディーズレイクまで行くと、鏡のような静かな水面に、残照の空と満月に近づいた月が浮かんでいた。 JMTのルールでは、標高3000メートル以上では火を使う事が禁じられているのだが、このあたりは僅かに低いようなので、焚き火をすることに。そして最終日までとっておいたワインの小瓶を開けた。 山の静寂と草原を抜ける夜風、理想的なキャンプ地での焚き火、赤ワインの味、いくつものアップダウンを乗り越えてきたという達成感...。かなり完璧な気がした。でも何か違う。「全てがワザとらしい」と言ったらいいのだろうか? それが何かわからないまま、ひとりの夕食を片付け、テントに入り椎名誠さんの旅の本を読みながら眠りについた。
by backpacker_f
| 2007-10-02 02:00
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