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2007年 07月 01日
旅の回想録、中断していたニュージーランド紀行(1997年)に戻らせていただきます。もうすっかり忘れられていると思いますが、話は勝手に続いていきます。
-- 1997年3月8日(Nelson〜Franz Josef Glacier Village / YHA Franz Josef Glacier) ネルソンから出発するバスは早朝くて、朝食をとっている余裕はなかった。せめて飲み物だけでもと、ユースのキッチンでコーヒーを飲み、そのままチェックアウトしようとしていると、起きて来た日本人の女の子が「何か食べたほうがいいですよ」さっとホットドックを作ってくれた。やはり一人旅をしているという彼女はショートカットの可愛い美人で、思いがけない優しさに「今日の移動はやめて、残ってしままいたい!」とも思ったが、そんなことをしているとただでさえもキツキツの予定がさらにおかしくなってしまうと思い直し、お礼もそこそこに包んでくれたホットドックを持って集合場所になっているバス停へと向かったのだった。全く昔からどうしようもない男なのである...(翌日のバスで僕が訪れる村に彼女も来るということなので、密かに再会が楽しみになったのですが) バスは半分くらいの乗車率で出発し、朝の光が気持ちいいタスマン海沿いの国道をどんとん南下していった。海岸線から一旦山道に入ったあたりでうとうとしてぐっすりと眠ってしまう。目が覚めるとバスは海岸の高台のようなところで停車していて、どうやら休憩場所に着いたようだ。皆バスから降りカフェに入ったり散策したりしているので僕も外へ。少し時間があるということなので、海岸の散策路に行ってみる。歩いているうちに、どうやらここはガイドブックに書いてある「パンケーキロックス」という場所だとわかる。海を見下ろす高台の岩々はどれもパンケーキを積み上げたようなかたちをしていて、名前のとおりのわかりやすさなのであった。真っ青な海やはるか遠くに見える雪を冠ったサザンアルプスの山々を見ながら歩いていると、同じバスに乗っていた日本人二人に挨拶される。二人とも大学生風なのであるが、一緒に旅しているというわけではなく、たまたま同じバスに乗ったということらしい。ひとりは熊本からの現役の女子大生、もう一人はK君という卒業旅行をしている男なのだった。K君は僕とルートが同じで、熊本女子大はグレイマウスからトランツアルパイン(鉄道)で、クライストチャーチに向かうと言っていた。 (↑皆うきうきしながら旅を楽しんでいたのがわかると思います。ちなみに右がbackpackerでして、若かった故?頭の上のサングラスがかなり曲がっていたりします...) パンケーキ海岸を出発すると、またも眠りに落ちてしまう。車はあまり走っていないし、町というか家も無いし、ただ緑と海岸の風景が続き(のどかで美しいのであるが...)すぐに眠くなってしまうのだ。というわけで、午前中ほとんど寝てばかりいるうちにグレイマウスに到着。海に面した小さな町で、熊本女子大生はK君と僕に手を振り、笑顔でトランツアルパイン駅へと消えて行った。入れ替わりにサザンアルプスを越えて来た乗客たちが大勢乗り込んでくる。NZ旅のルートとしてはそちらのほうがメジャーらしい。バスはあっという間に満席になってしまった。日本人も多く、昨日のクック海峡フェリーで見かけた顔も何人かいるようだった。僕の隣席の大学生風の青年もそうで、昨日はクライストチャーチに一泊したそうだ。トランツアルパインについては「途中まではなかなか良かったけど、アーサーパス(サザンアルプス越えの最高地点)は雲に覆われていて残念だった」と言っていた。 満員になったバスの乗客は世界中から集まって来たバックパッカーばかりで、修学旅行のような賑やかさで旅は続いていく。車窓から見える山々には雪が目立つようになってきて、だんだんとフィヨルド地方に近づいているのが実感できた。隣の大学生男は「北海道のような景色ですね」と言っていた。彼は自転車で北海道を縦断したことがあると言っていた。全く羨ましい限りだ。(当時、僕はまだ北海道にさえ訪れたことはなかった...) Hokitikaという町で長めの休憩。乗客は全員バスから下ろされ、運転手は鍵を閉めてどこかへ昼食に行ってしまった。そのHokitikaであるが、海辺のクラシカルなショッピングタウンのようなところで、なかないい雰囲気な場所である。しかし、ちょっと寂れた観光地のようでもあり、閉まっている店も多く、食事をするといっても少し離れたところに見えるマクドナルドに行くくらいしか選択肢はないようだった。皆そちら方面に流れて行くが、僕はその逆方向の海岸へと向かった。 気持ち良い砂浜で、ショートカット美人に作ってもらったホットドックを齧る。浜辺には旅行者なのか地元の人なのかわからないが、皆のんびりと散策を楽しんでいるようだった。海を眺めながらぼっとしていると、日本人の女の子に挨拶される。彼女はまだ高校2年生で、クライストチャーチにホームステイ留学しているそうだ。今日はホストファミリーとドライブでこちらに遊びにきたのだと言っていた。全く高校生のうちから(良い意味で)いい体験し過ぎなのである。「家族や友達と離れて寂しくないですか?」ときくと、クライストチャーチは日本人留学生が多く、寂しくなれば町の中心の広場に行き、同じような日本人同士で集まって息抜きをすることが多いと言っていた。「その広場に一人で行っても、帰りは必ず大勢になってしまうんですよ。」と彼女は笑い、海を見ながら屈託のない笑顔で「クライストチャーチに着かれたら、また会えるかも知れませんね。」と言ってくれた。 バックパッカー修学旅行バスは、さらに何度か休憩して(途中荒野の一軒家のようなドライブインで、皆でアイスクリームを食べたりもした)、17時近くにようやく目的地フランツ・ジョセフ・グレイシャー・ビレッジというやたら長い名前の村に到着。ここは名前のとおりフランツ・ジョセフ氷河の下にある村なのだ。クック山脈からタスマン海に向かって伸びる氷河の観光基地となっているようで、雪の冠った山を目指して何機かのセスナやヘリコプターが飛んでいるのが見えた。 僕やK君など日本人のほととどはユースへと向かう。今夜は早々に満室となったようで、予約のなかった人たちは、ツーリストインフォメーションに戻り、他の安い宿を探してもらっているようだった。K君や途中から乗って来た背の高い大学生風や関西弁の長髪男などは、すっかり意気投合し盛り上がり、僕にも「夕食をつくるので一緒にどうですか?」と誘ってくれたのだが、大学生達の盛り上がりにはちょっとついていけそうもない気がして、「もうちょっと散歩したいので」などと適当なことを言って逃げ(...)、本当にビレッジを散歩することにする。「上高地に似ている」と思いながら、氷河から流れてくる川を見に行ったり、居心地の良いカフェをみつけたりして、僕なりにのんびりと長旅の疲れを癒した。 日本アルプスのような鋭いピーク、その奥の氷河をたっぷりとたたえたマウントクック山系4000メートル級の山々全てをオレンジ色に染め陽が落ちると、ビレッジの上には満天の星が降り注ぎはじめる。僕は双眼鏡とカメラを持ち氷河川の方へ。前日にネルソンの町から南十字星は確認できたが、この村で見る南半球の夜空は本当に美しかった。日本からは全く見えない部分というのがあまりに広いことに驚く。星空については割とは好きで、星々の並びについてわかっているつもりだったが、本当に見たことのない星座だらけなのだ。そしてそれらは本当にきれいだった。南十字星、アルファケンタウリ、コールサック、マゼラン星雲、まるで宝石箱のような濃い天の川。こんなに美しい星々が南半球独占というのは随分ではないかと思ってしまう。ごろごろとした石だらけの広い河川敷で川の音を聞きながら、時間を忘れて子供の頃からの夢だった南天の星々を眺め続けた。 ユースに戻ると賑やかだったキッチンやロビーにはもう誰もいなくて、ここで飼われているらしい人見知りしないネコが、おかえりと足に擦り寄って挨拶してくれた。
by backpacker_f
| 2007-07-01 19:05
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